更新日:2025年02月06日
2023年12月より運送事業者だけでなく、白ナンバー事業者に対しても、アルコール検知器(アルコールチェッカー)によるアルコールチェックが義務化されました。
前回のアルコールチェック義務化よりも、厳しくなったアルコールチェックですが、一方でごまかしや裏技などを使った不正行為も少なくありません。
アルコール検知器によるアルコールチェック義務を怠った場合、法律上での罰則はありませんが、運送業者の従業員などが飲酒運転で捕まった場合は、罰則の対象となりますので十分注意が必要です。
そこで今回は、運送屋さんなどで実際にあったごまかし方や裏技などの事例をご紹介していきます。
事前に不正行為を防ぐためにもしっかりとチェックしていきましょう。
参考:自動車運送事業におけるアルコール検知器の使用について | 国土交通省
アルコール検知器でごまかしは可能か?
精度が高い高性能のアルコール検知器(電気化学式センサー)を導入している場合、アルコールチェック時にごまかすのは難しいと言えるでしょう。
しかし必ずしも絶対ごまかせないというわけではありません。
実際によくあるケースとして知られるのが、アルコール成分を含む食物やマウスウォッシュなどの口内洗浄液に含まれているアルコール成分が原因で検査に引っかかる場合です。
このケースを利用して、「マウスウォッシュを先ほど使った」、「アルコール成分が含まれている食べ物を食べた」などの言い訳をしてごまかすケースも少なくありません。
下記のごまかし方と裏技6選では、運送屋さんで実際に行われた事例をご紹介していますので是非ご参考ください。
運送屋さんなどが実際に行ったアルコール検知器クのごまかし方と裏技8選

それでは実際に、運送屋さんなどが行ったごまかし方や裏技の事例をご紹介します。
飲酒していない人の息でアルコールチェックを行う
不正行為として挙げられる最もポピュラーなごまかし方・裏技が、飲酒していない人に身代わりでアルコールチェックを行うという行為です。
アルコールチェックの管理者が目の前で確認する場合でも、管理者の隙を狙って行う事例も少なくありません。
また出向先など遠隔地で従業員がアルコールチェックを行う場合は、注意が必要です。
遠隔地でアルコールチェックを行う場合は、見守りカメラなどを活用する方法もおすすめです。
スマホアプリで映像確認することができる見守りカメラを導入し、カメラの目の前でアルコール検知器を使用してもらうように指示をすれば、不正行為を事前に防ぐことができるでしょう。
参考:ペットカメラ・ベビーモニターのおすすめ人気ランキング10選!留守番に最適
空気入れポンプなどを使用する
自分の息の代わりに、空気入れポンプ(エアーポンプ)などでアルコール検知器に空気を送り込むという事例も報告されています。
具体的には、アルコール検知器に付属している呼気専用チューブ(ストロー)に穴を空けて、空気入れポンプで空気を送り込むというもの。
アルコール検知器の呼気専用チューブ(ストロー)に、不備や不審な箇所ないか、事前に確認しておくことが必要です。
少量の息のみでアルコールチェックを行う
息を吐き切った状態をキープしながら、残りわずかの息でアルコール検知器に吹きかけるというものです。
一見、ちゃんと息を吹きかけているように見えますが、実はほとんど息を吹きかけておらず、アルコール濃度検出を免れる方法です。
また警察が行うアルコールチェックの一つとして、一般的に「風船」と呼ばれるポリエチレン製の呼気採取袋を用いる呼気検査があります。
この風船を使った呼気検査でも、ごまかす方法や裏技として使われているのが、息を吐き切った状態をキープし、残りわずかの呼吸で空気を吹き込むという方法です。
ごまかすなど不正行為を行っていないか、しっかりと目の前で目視して確認する必要があります。
アルコール成分を含む食品や口内洗浄液が原因と噓をつく
食パン、漬物類などの発酵食品、洋菓子、口腔洗浄液、歯磨き粉などには微量のアルコール成分が含まれていることが多く、場合によってはアルコール検知器で飲酒していないのに、検出される場合があります、
その弱点をつき、発酵食品を食べた又は口内洗浄液を使用したと嘘をつき、アルコールチェックを免れようとするケースもあります。
ケトン体のせいにする
ケトン体とは、脂肪合成や脂肪分解の過程で発生する中間代謝産物です。
発酵食品、口腔洗浄液、医薬品以外でも、アルコール検知器が反応してしまう場合があるのが、このケトン体と呼ばれている中間代謝産物です。
ケトン体は、特に糖尿病の方に多く、インスリンの作用が不足している場合に、多く発生します。
不正の申告をする
遠隔地などで、アルコールチェックを行い、測定結果を自己申告する場合、簡単に嘘の測定結果を申告することが可能です。
対策としては、アルコール検知器で測定を行った測定結果が瞬時に、転送される高機能モデルを採用するなどの工夫が必要です。
鼻息でごまかす
口ではなくて、鼻息でごまかそうとする方も少なくありませんが、実際に鼻息でごまかそうとしても全く効果がありません。
何故なら、鼻息も口での吐息も必ず、アルコールが検出されるため、鼻息でごまかそうとしても意味はありません。
故障したアルコール検知器を使う
故障したアルコール検知器を使用し、アルコールチェックをうまく免れるというケースもあります。
あまり広く知られていませんが、アルコール検知器には必ず寿命があり、家庭用アルコール検知器の場合は1年または使用回数500~1,000回、業務用の場合は1年半~2年または5,000~10,000回が平均寿命となっています。
寿命が切れているアルコール検知器を使用した場合、正常にアルコールを検知することができません。
そのため事業者や管理者は、必ずアルコール検知器が正常に動作しているか、寿命が切れていないかという点にも注意が必要です。
関連記事:アルコールチェッカーの寿命について【家庭用・業務用別】
警察からアルコールチェックを拒否するとどうなる?
アルコールチェックの義務化により、各事業所では業務前にアルコール検知器でアルコールチェックを行うことが義務化されました。
警察が行っている飲酒検問では、アルコールチェックを行う呼気検査がありますが、拒否したり免れることは可能なのでしょうか。
実は、万が一呼気検査を拒否した場合、「呼気検査拒否罪」に該当し、「3ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金」が課せられますので注意しましょう。
呼気検査拒否罪に関しては、道路交通法第118条の2にしっかりと明記されており、警察は運転手が呼気検査を拒否し、30分から1時間ほど説得した上で、それでも呼気検査を拒否した場合は、現行犯逮捕するとしています。
呼気検査を求められた場合は、警察の指示に従い、呼気検査に応じるようにしましょう。
参考:道路交通法 | e-Gov法令検索
参考:飲酒運転の根絶 | 広島県警察
アルコールチェックのごまかしや裏技を防ぐ方法
それでは次に、事業主または管理者がアルコールチェック時のごまかしや裏技などの不正行為を防ぐ方法についてご紹介していきます。
カメラ付きアルコール検知器を導入する

最近では、カメラ付き又はWEBカメラと連動して、測定中の写真撮影が可能なアルコール検知器もあります。
写真撮影が可能なアルコール検知器を導入することで、不正行為を未然に防ぐことができるでしょう。
ただし、カメラ付きのアルコール検知器は、通常のアルコール検知器と比較すると価格がやや高くなる傾向があります。
導入コストを抑えたい場合は、見守りカメラなどを活用すると導入コストを抑えることができます。
参考:ペットカメラ・ベビーモニターのおすすめ人気ランキング10選!留守番に最適
アルコール検知器 CAX-AD300 / ケンウッド(KENWOOD)
日本製気式ガスセンサー採用!
アルコール検知器 CAX-AD300 / ケンウッド(KENWOOD)
34,800円(税込)※相場(楽天参考)スマートフォンアプリとパソコンソフトに対応し、測定結果を円滑に管理することができます。
スマートフォンアプリ測定時では、測定時の写真撮影も行ってくれるので、なりすまし予防にも効果的。
センサーには、精度に優れた日本製電気式ガスセンサーを採用し、精度の高さも抜群です。
さらにオートクリーニング機能も搭載しているので、安定した測定精度を自動で維持してくれます。
呼気中アルコール濃度測定範囲 | – | 検知方法 | 電気化学式ガスセンサー |
---|---|---|---|
センサー寿命 | 1年または使用回数10,000回 | その他機能 | Bluetooth機能、写真撮影、ID管理機能、日本製 |
サイズ | 160 x 55 x 30mm | 重量 | 約190g(電池含まず) |
アルコール検知器 L-ACCH / マザーツール(Mother Tool)
手持ちのWEBカメラと連帯できる!
アルコール検知器 L-ACCH / マザーツール(Mother Tool)
49,800円(税込)※相場(楽天参考)パソコンのWEBカメラと連帯することができ、測定中の写真撮影も可能です。
アルコール検知器本体にカメラが搭載されている場合は、コストが高くなる傾向がありますが、外部カメラを使用するため、本体価格が安いのも大きな特徴です。
登録人数は最大1万人まで登録することができ、パソコン接続すれば、測定結果は自動で保存されます。
搭載センサーは、アルコール成分以外のガスの影響を受けにくい、電気化学式ガスセンサーを採用。
呼気中アルコール濃度測定範囲 | 0.0mg/l~2.0mg/l | 検知方法 | 電気化学式ガスセンサー |
---|---|---|---|
センサー寿命 | – | その他機能 | WEBカメラ連帯機能、自動データ記録、メモリー機能(1万人・370日) |
サイズ | 120 x 57 x 27mm | 重量 | 約145g |
顔認証付きアルコール検知器を導入する
写真撮影だけでなく、顔認証が可能な高性能アルコール検知器も販売されています。
顔認証を行ってから、アルコールチェックを行いますので、記録データの不備や間違いもなくデータを保存できるほか、不正行為も行いにくくなります。
アルコール検知器 カウンタースタンドセット IRC-AL-F8AN1-C / アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)
顔認証機能を搭載したハイエンドモデル!
アルコール検知器 カウンタースタンドセット IRC-AL-F8AN1-C / アイリスオーヤマ(IRIS OHYAMA)
188,000円(税込)※相場(楽天参考)なりすまし測定を防止できる顔認証機能を搭載した高機能アルコール検知器。
顔認証3Dモニタリング技術を採用することで、マスクを着用したままでも顔認証精度99%を実現し、使いやすさも抜群です。
また確認者、運転手、車両番号、測定日時、アルコール測定値などを自動で記録してくれる自動ログ機能を搭載し、面倒なデータ記録もスムーズに行うことができます。
呼気中アルコール濃度測定範囲 | 0.0mg/l~1.904mg/l | 検知方法 | 電気化学式ガスセンサー |
---|---|---|---|
センサー寿命 | 上限20,000回 | その他機能 | 顔認証、自動ログ機能、温度測定、メモリー機能(20万件) |
サイズ | 30 x 23 x 126.5cm | 重量 | 約9.5kg |
電気化学式センサー(燃料電池式)のアルコール検知器を使う
アルコール検知器に搭載されているセンサーは、「半導体式ガスセンサー」と「電気化学式センサー(燃料電池式)」の2種類があります。
半導体式ガスセンサーは、価格が安く導入しやすいというメリットがありますが、アルコール成分以外のガスにも反応しやすいというデメリットがあります。
そのため、アルコール検知器の精度を高めたい場合は、電気化学式センサー(燃料電池式)がおすすめです。
アルコール成分以外のガスには、反応しにくく耐久性にも優れているのが特徴です。
アルコール検知器 Fu-Go FALC-11 / フィガロ技研
老舗ガスセンサーメーカー!
アルコール検知器 フーゴプロ FALC-11 / フィガロ(FIGARO)
34,800円(税込)※相場(楽天参考)誤検知が少ない電気化学式ガスセンサーを採用し、アルコール成分以外のガスの影響を受けにくいアルコール検知器です。
運送業者に嬉しいドライバーID機能も搭載しているので、個人識別することができ、データの管理性にも優れています。
メモリ機能は、最大2,500件まで登録可能。
呼気中アルコール濃度測定範囲 | 0.00mg/l~0.35mg/l ※0.05mg/l未満は0.00mg/l表示 | 検知方法 | 電気化学式ガスセンサー |
---|---|---|---|
センサー寿命 | 1年または使用回数10,000回 | その他機能 | ドライバーID識別機能、メモリ機能、日本製 |
サイズ | 120 x 65 x 25mm | 重量 | 約140g(電池含まず) |
アルコール検知器 ACT-200 / ライノプロダクツ
5万回の長寿命!
アルコール検知器 ACT-200 / ライノプロダクツ
10,160円(税込)※相場(楽天参考)センサー寿命(測定回数)が5万回と長寿命タイプでコストパフォーマンスに優れたアルコール検知器。
電気化学式ガスセンサーを搭載しているので、エタノール以外はほぼ検知せず精度の高さも大きな特徴です。
専用マウスピースが標準で10個付属しているのも人気のポイント。
呼気中アルコール濃度測定範囲 | 0.00mg/l~0.20mg/l | 検知方法 | 電気化学式ガスセンサー |
---|---|---|---|
センサー寿命 | 3年または使用回数50,000回 | その他機能 | メモリ機能 |
サイズ | 132.5 x 68.5 x 26mm | 重量 | 約84g(電池含まず) |
Bluetooth搭載のアルコール検知器を導入する
遠隔地でのアルコールチェックでは、データの改ざんや不正行為が行われる可能性も少なくありません。
そこでおすすめなのが、Bluetoothを搭載したアルコール検知器です。
Bluetoothを搭載したアルコール検知器では、スマートフォン専用アプリと連携して、アルコールチェック時の測定結果をメールなどで自動お知らせしてくれる機能を搭載しています。
そのため、データの改ざんや異なる測定結果を記録するなどの不正行為を予防することができます。
アルコール検知器 NEO SC-502 / ソシアック(SOCIAC)
コスパに優れたBluetoothモデル!
アルコール検知器 NEO SC-502 / ソシアック(SOCIAC)
25,800円(税込)※相場(楽天参考)Bluetooth機能を搭載し、スマートフォンアプリを通じてデータを送信することが可能です。
またアプリを使用しなくても、USBケーブルとパソコンを繋ぐことで簡単に測定データを転送することも可能となります。
ACアダプター、DCアダプター、乾電池に対応しているので、使用場所に応じて柔軟に対応することができます。
呼気中アルコール濃度測定範囲 | 0.0mg/l~1.0mg/l | 検知方法 | 電気化学式ガスセンサー |
---|---|---|---|
センサー寿命 | 購入使用後1年半または10,000回使用 | その他機能 | Bluetooth機能、メモリー機能(30,000件) |
サイズ | 160 x 55 x 20mm | 重量 | 約190g |
GPS機能を活用する
アルコール検知器には、GPS機能を搭載した高機能タイプのアルコール検知器も販売されています。
これは、測定結果とGPS情報(位置情報)を同時に送信できる機能で、ドライバーの位置情報を正しく確認できる効果的な方法です。
業務と関連性のない場所にいないかどうか、確認することができ、ドライバーの行動の把握に役立ちます。
しかし位置情報を管理するだけに、従業員の同意や取扱いには注意が必要です。
目の前でアルコールチェックの目視を行う
アナログの予防策とはなりますが、遠隔地以外でアルコールチェックを行う場合は、必ず管理者が目視を行いましょう。
実際に「安全運転管理者制度」には、安全運転管理者の業務内容の一つとして「点呼と日常点検実施による安全運転の確保」が定められています。
しっかりと目視で確認を行い、事前に不正行為を予防しましょう。
参考:アルコールチェッカー・検知器の義務化と運用ルールについて
社内ルールを強化する
義務化に伴いアルコールチェックは、会社にとって非常に重要な業務の一環となりました。
万が一、従業員が飲酒運転をしてしまった場合、本人だけでなく、会社、取引先、その家族まで悪影響を及ぼしてしまう可能性が十分に考えれれます。
そのためにも、アルコールチェックに関する社内ルールを強化し、しっかりと周知しておくことが大切です。
またアルコールチェックを怠った場合、ごまかした場合、アルコールが検知された場合などの懲戒処分についても明確にしておくことで、不正行為を予防することができます。