更新日:2025年05月15日
日本の公務員は原則、副業が禁止されています。公務員の副業に関する規定は、国家公務員法、地方公務員法に基づいており、これらの法律では、原則として公務員が副業を行うことを禁止しています。
しかし、2025年には総務省が地方公務員の副業や兼業を促し、地方自治体向けの許可基準を示して、営利企業からの報酬を得て働くことができるように緩和を行っています。
特に町おこしや移住者支援、地域住民の生活維持に欠かせない仕事など、地域貢献を目的とした副業・兼業に関しては幅広く認めるという見解を示しました。
上記以外でも、地方公務員・国家公務員が可能な副業もありますので合わせてご紹介いたします。

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公務員が許可されている副業
原則、副業に関して制限が設けられていますが、下記の副業であれば公務員でも副業を行うことができます。
1.株式投資・投資信託・FX
株式投資、投資信託、FXなどは、「営利を目的とする事業への従事」、「他の職業に就くこと」には該当しないため、副業ではなく資産運用という扱いとなります。
しかし、頻繁に売買を行うデイトレードなどで職務に支障が生じる場合、「職務専念義務」に該当する可能性がありますので注意が必要です。
あくまで勤務時間外で行いましょう。また公務員が職務中に得た情報をもとに株取引を行うこと(インサイダー取引)は、法律違反(金融商品取引法)に該当します。
その他にも、ご自身で株式会社を設立し、自社株を保有する場合は、「営利企業の役員等の兼業」に該当しますので、自治体によっては禁止されています。
私自身が、一つの銘柄で約75万円以上の利益を出した株式投資方法をnote限定で公開しております。宜しければご参考ください。
2.外貨預金
外貨預金も公務員が行うことができる副業として人気の一つです。
外貨預金とは、日本円ではなく、ドルやユーロなど外国通貨で行う預金のことです。例えば「米ドル建ての普通預金」、「ユーロ建ての定期預金」など外貨でお金を預けて運用を行うことができます。
日本の平均預金金利は、0.17%前後ですが、米ドル預金(定期預金)であれば平均3~4%と金利が高いのが大きな特徴です。
金利が高いというメリットもありますが、一方でデメリットとして、外貨預金はペイオフ対象外となるので、金融機関が万が一破綻した場合、預金保険機構による保険金支払いの対象外となってしまいます。
3.金・プラチナ投資
金やプラチナへの投資も副業ではなく、株式投資同様に資産運用という扱いになります。戦争、経済低迷などの世界情勢などの有事にも強いのが金の特徴です。
金の価値は、過去20年間上昇傾向にあります。2025年初頭、金価格は3,000ドルを超え、過去最高値を更新しました。50年前と比較すると、金の価値は約10倍以上にも上がっています。
金価格変動の主な要因は、金融危機や景気後退時に安全資産としての需要が増加、インフレ懸念による金の需要が増加することなどが挙げられます。
ただし金は、株式投資のように分配金などは入りませんので、持っているだけでは利益を生み出すことはできません。売却時のみ利益を得ることができます。
4.仮想通貨(暗号資産)
ビットコインなどの仮想通貨(暗号資産)も資産運用という扱いになるので、副業には該当しません。そのため資産運用として、公務員でも投資を行うことができます。
しかし、株式投資と同様に職務に支障が出ない範囲内で行うことが大切です。
仮想通貨は、ビットコインの他にも、イーサリアム、リップル、ソラナなどの通貨も存在します。
2009年に登場したビットコインの価値は、1円以下でしたが、過去最高値と比較すると、その価値は1,000万倍にも値上がりをしています。ビットコインの中でも異例となる値上がりです。
かなり夢のある投資方法ですが、仮想通貨は価格変動が非常に激しく、1日で10%以上動くこともあり、売却するタイミングを見極める必要があります。
また仮想通貨の利益は、雑所得となるため、住民税を含むと最大55%の税金が課せられます。
株式投資の場合は約20%となるので、課税率に関しては注意しておきましょう。
5.不動産投資
不動産投資規模が小規模かつ家賃収入目的であれば、公務員でも不動産投資を行うことができます。
公務員が不動産投資を行える具体的な条件は、「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」で次のように定められています。
・不動産規模が5棟未満(家屋)
・不動産規模が10室未満(アパートまたはマンション)
・賃料収入が年間500万円未満・管理業務は外部に委託すること
不動産規模が5棟10室未満
「人事院規則14‐8(営利企業の役員等との兼業)の運用について」では、独立家屋の場合、5棟未満、アパートまたはマンションの場合、10室未満であれば、副業として公務員でも不動産投資が可能です。
賃貸収入が年間500万円未満
不動産規模の制限に加えて、賃貸収入は年間500万円未満とされています。そのためアパートなどで家賃収入を得る場合は、年間で500万円未満になるように家賃等を設定する必要があります。
また賃貸収入500万円という金額は、経費などを差し引いた純利益の金額ではありませんのでご注意ください。
地方自治体によって、独自の基準を定めている場合もあります。
管理業務は外部に委託すること
入居者管理、家賃回収、メンテナンスなど不動産の管理業務は、すべて外部に委託することが必要になります。
これらの管理業務を行うと、職務に支障が生じると判断され、人事院規則に違反してしまいます。
不動産投資を副業として行う場合は、管理業務の委託先に関しても準備する必要があります。
6.家業の手伝い
実家の家業を手伝う場合、その内容によって承認されるかどうか大きく異なります。
無報酬かつ非営利目的の事業であれば、承認される可能性は非常に高いですが、報酬が発生する場合や営利目的の事業である場合、承認される可能性は低いといえるでしょう。
自治体によっても異なりますので、事前に任命権者に相談し、適切な許可を得ることが大切です。
7.講演
職務に支障が範囲内であれば、講演を行うことも可能です。また非営利目的であれば、謝礼も受け取ることができるとされています。
謝礼に関しては、交通費などが含まれる場合が多く、報酬とはみなされないため受け取れる事例が多くあります。しかし謝礼が発生する場合は、万が一に備えて、講演を行う前に任命権者に相談しましょう。
しかし、単発ではなく、定期的・継続的に講演を行っている場合に関しては、事業活動とみなされる場合があります。
8.小規模農業
営利目的ではなく、自給自足のための小規模農業であれば、公務員も副業として行うことができます。
収穫した農作物は、ご自身で消費する場合のみ認められますので、他人に販売して利益を得る行為は認められません。
また農業の規模が、販売農家に区分される「耕作面積が30a以上、または農産物の年間販売額が50万円以上」となる場合は、許可が必要になります。
年間販売額が50万円以下であっても、営利目的と判断される場合がありますので、任命権者に相談しましょう。
9.メルカリなどのフリマアプリの利用
メルカリ、ラクマ、ヤフオクなどのフリマアプリで不用品を販売することは違反とはなりません。不用品の売買であれば副業には該当しませんので、不用品を販売してお小遣いを得ることは可能です。
しかし、せどりや転売目的でフリマアプリを使用すると、営利目的となりますので違反対象となります。
あくまで不用品の処分としてフリマアプリを使用する場合のみ、利用が可能です。
10.ポイ活(ポイント活動)
楽天市場、アマゾンなどで商品を購入した際に、ポイントが付与されますが、これらについては営利目的とした活動には該当しないので、公務員もポイ活を行うことができます。
副業を緩和する自治体も増加傾向に
近年では、自治体が公務員の副業に対して緩和を行うケースも増えてきています。ここでは実際に、独自の基準で副業を容認しているケースをご紹介いたします。
1.兵庫県神戸市「地域貢献応援制度」
2017年、兵庫県神戸市では、一定の条件を満たすことができれば、公務員の副業を認める「地域貢献応援制度」を導入しました。
この制度では、公務員が地域活動に参加できるようにすることで、NPO法人や地域団体が直面している人手不足や高齢化といった課題に対応するという目的があります。
一定の条件を満たし、許可を得た場合、公務員は勤務時間外に副業として報酬を得ることが可能になりました。
2.奈良県生駒市の消防職員による救命講習の指導
奈良県生駒市では、消防職員がその専門性を活かし、地域の大学で救命救急講習のインストラクターを務めることができる副業事例があります。
2019年度から継続して、生駒市の消防職員6名が大学での救命処置講習の指導を担当し、地域の安全教育に役立てています。
この活動は、勤務時間外に行われ、職務専念義務に反しない範囲で許可されています。
3.総務省による副業・兼業の基準明確化の動き
総務省は、2025年度を目途に、地方公務員の兼業・副業に関する基準や事例を明確にし、自治体と職員が安心して副業申請を行うことができる体制を整える方針を明らかにしています。
これにより、今後さらに公務員の副業に関する緩和が広まることが期待されています。
公務員はなぜ副業が禁止されているのか
公務員は、国、国民、市民のために働く「奉仕者」としての役割を担っており、職務に全うする必要があり、原則副業で報酬を得る行為を慎む必要があるとされています。
このことは、国家公務員法、地方公務員法によって以下のように定められています。
国家公務員法第103条:私企業からの隔離
公務員は、営利を目的とする会社や団体において役員や顧問、評議員を務めたり、自ら営利活動を行うことはできない。
国家公務員法第104条:他の事業又は事務の関与制限
公務員が報酬を得て、営利を目的としない団体で役員や顧問、評議員の職を兼ねる場合や、その他の事業に従事する場合には、内閣総理大臣及びその所属省庁の長の許可を受けなければなりません。
地方公務員法第38条:営利企業等の従事制限
公務員は、任命権者からの許可を得ることなく、営利を目的とする企業や団体で役員などの地位を兼任したり、自分自身で営利活動を行ったり、報酬を得て他の事業や業務に従事することはできません。
以上の内容から、公務員は原則副業が禁止されています。
副業禁止の三原則
また上記以外にも、国家公務員法・地方公務員法では、副業を禁止する3つの原則についても定めています。
・信用失墜行為の禁止
・職務専念に専念する義務
・守秘義務
地方公務員法第33条:信用失墜行為の禁止
公務員としての信頼や中立性を損なうような行為を禁止するものです。
【信用失墜行為の例】
1.公務に関する情報の不正利用
公務員が、勤務中に得た情報を基に副業で金銭的利益を得るような行動などが該当します。例えば、役所で知り得た情報を使って私的な投資活動をすることは、公務員としての倫理に反し、信用失墜行為となります。
2.公務員としての名義の悪用
副業で、公務員としての名義や肩書きを利用して仕事を得る行為です。例えば、名刺に「公務員」と書いて営業活動を行うなど、公務員の肩書きを利用して信用を得ようとする行為は禁止されています。
国家公務員法第第101条:職務に専念する義務
公務員は、法律や命令で認められた場合を除いて、勤務時間中は職務に専念し、公務以外の業務には従事してはならない。
国家公務員法第100条/地方公務員法第34条:守秘義務
公務員は、職務を遂行する中で得た情報や資料を外部に漏らしてはいけないという義務を負っています。これには、個人情報、行政に関わる秘密事項も含まれています。
またこれらの情報を利用して、職務外で自身の利益や副業のために利用してはいけないと定められています。公共の信頼を損なわないようにするための重要な原則の一つです。
副業と守秘義務の関連性について
1.職務上の秘密の漏洩の禁止
公務員がその職務を通じて得た情報を、副業での活動や他の人への報告に利用することは、守秘義務違反に該当します。例えば、行政機関での決定や調査結果など、まだ公開されていない情報を副業に活用することは不正使用となります。
・公務員が関わるプロジェクトの内容やデータを、副業で商業利用する。
・行政機関の新しい政策案を、自分の副業で利用するために知っている内容を無断で外部に漏らす。
2.個人情報の保護
公務員は個人情報の取り扱いに関して非常に慎重である必要があります。個人情報保護法に従い、職務で得た個人情報を他の事業に持ち込んで利用することは強く禁じられています。
・行政手続きで得た個人の住所や電話番号、年齢などの情報を個人情報を扱う副業で不正に使うこと。
公務員の副業がバレた場合の処分について
国家公務員法、地方公務員法の規定に抵触し、副業が判明した場合、減給や停職などの懲戒処分の可能性が非常に高いといえるでしょう。
最悪の場合、免職となる可能性も十分に考えられます。
具体的にどのような処分となるのか、みていきましょう。
懲戒処分
無許可で営利活動(副業)を行っていた場合、国家公務員法(第103条・第104条)や地方公務員法(第38条)違反とみなされ、次のような懲戒処分の対象となります。
免職
副業を継続的に行っていた、隠ぺい工作を行っていたなどが発覚した場合、公務員としての職を失う免職となる可能性があります。
停職
無許可の営利活動が悪質な場合、一定期間、給与なしで職務から外される可能性があるでしょう。
減給
副業が小規模でも違反が明らかな場合、給与の一部が減額されます。
戒告
規模が小さい、悪意がない、初犯等などの場合は、口頭・書面での厳重注意となるケースが多いでしょう。
実際に副業がバレて処分された事例
実際に公務員が副業を行い、処分された事例をいくつかご紹介します。
税務職員が会社を設立して副業
長期間・継続的に副収入を得ていたし、懲戒免職となった。
学校職員がYouTubeで収益化
動画内容が公務員の品位に反するとの判断され、減給処分。
消防士が無許可で配達アルバイト
数回のみで悪質性が低いと判断され、戒告のみの処分。
公務員の副業がバレてしまう原因は?
最も多い原因として挙げられるのが、副収入によって住民税が変動した場合が考えられます。
その他には、SNSによる拡散、同僚や知人からの通報、税務調査、取引先からの問い合わせなどが挙げられます。
副業の内容によっては、許可される場合もありますので、申請が必要な場合は必ず許可を得てから行うようにしましょう。
公務員の平均年収はどれくらい?
人事院の令和6年度国家公務員給与等実態調査によると、国家公務員の平均年収は約684万円、地方公務員の平均年収は約668万円でした。
国家公務員の方が、年間約16万円高いという結果になりました。
国税庁の令和5年分民間給与実態統計調査結果では、民間企業に勤めている方の平均年収は約460万となるので、民間企業勤務の平均年収と比較しても、公務員の平均年収は高いということがわかります。
また2024年8月、人事院は国家公務員の月給を平均2.76%(約11,183円)引き上げるように勧告を行いました。この引き上げ幅は32年ぶりの高水準となり、初任給も大幅に高くなりました。
公務員のボーナス額は平均約131万円
令和6年の国家公務員の平均ボーナス額は、約131万円でした。ボーナスにおいても民間企業よりも高い水準といえるでしょう。
まとめ
今回は、公務員もできる副業について解説させていただきました。原則副業が禁止されている公務員でも、株式投資や外貨預金、仮想通過など資産運用に該当するものは副業がOKとなります。
また営利目的でない活動かつ無報酬であれば、副業としても認められる場合が多いでしょう。
ご自身で判断が難しい場合は、任命権者に必ず相談することをおすすめします。近年では総務省による兼業・副業を促す動きもみられますので、今後はさらに公務員が副業しやすい環境になっていくことが予想されます。