電気炉とは？仕組みと構造について

電気炉とは仕組みと構造について

電気炉は、温度調節機能に優れているのでシルバークレイ（銀粘土）をはじめ、陶芸、ガラス工芸など、焼成ムラなく綺麗に仕上げることができる焼成機器です。

今回は電気炉の仕組みや構造について詳しく解説していきます。

電気炉とは？電気炉の種類と仕組みについて

電気エネルギーを利用して、加熱を行う炉のことを指します。陶磁器、瓦、ガラス、セラミックなどを製造する窯業（ようぎょう）をはじめ、あらゆる工業で電気炉が用いられています。

燃料を利用して焼成を行う燃焼炉と比べると、温度調節などを行うことができるため操作性と安定性に優れているのが大きな特徴です。温度調節機能があれば、特別なスキルもいらず誰でも焼成ムラなく綺麗に仕上げることができます。

電気炉の加熱方法には、大きく分けて「抵抗炉」、「アーク炉」、「誘導炉」の3種類に分けることができます。その他にも、電子ビーム炉や
熱放射炉など特殊な電気炉もあります。

電気炉の中でも主流となっているのが抵抗炉です。導体に電流を流したときに発生する熱エネルギー「ジュール熱」を利用して加熱を行います。

抵抗炉は「直接式」と「間接式」の2種類の方法があり、対象物に直接電流を流して加熱する「直接抵抗加熱炉」とニクロム線や炭化ケイ素に電流を流して炉を加熱する「間接抵抗加熱炉」の2種類の方法があります。

高温で強い光を発するアーク、または電極に発生する熱を利用したのがアーク炉です。電極と対象物の間にアークを発生させる方法を「直接式アーク炉」、電極間にアークを発生させる方法を「間接式アーク炉」と呼びます。

スクラップ（鉄くず）を溶解しリサイクルする際に用いられることが多い電気炉です。

炉内に配置されたコイルに交流電流を流し、電気抵抗によって発生したジュール熱を利用する電気炉です。溶解物を直接加熱するため、効率的に溶解することが可能です。

上記では電気炉の加熱方式について解説しました。それでは次に構造の種類について解説していきます。

最もオーソドックスな構造なのが箱形タイプの箱形炉です。汎用性に優れ、家庭向け小型電気炉などに多く採用されています。ただしサイズが大きくなればなるほど、試料の出し入れがしにくいというデメリットもあります。

箱形炉のように開閉蓋ではなく、上部に蓋がついているのがルツボ炉です。試料の出し入れも上部から行います。形状には箱形以外にも円形もあります。

ドラム缶のように管状形になっている構造の炉を管状炉と呼びます。中央に配置されている炉心管と呼ばれる箇所に試料をセットして焼成を行います。

炉内にベルトコンベアなどが設置されており、ベルトコンベアで炉内を通過しながら加熱し焼成を行う炉です。量産性に優れ、同一の製品を製造する際に最も適した炉となっています。

開口部が底部にあり、前面に発熱体が配置できるため熱効率に優れているのが大きな特徴です。また試料のセットや出し入れも簡単に行うことができます。また炉底昇降炉の断熱材には高性能アルミナボードを採用しているので、温度上昇も早く、消費電力などランニングコストを抑えることが可能です。

ロータリーキルンは、炉が回転しながら焼成を行うことができます。セメント原料、紙くず、木くずなど液体や粉体の焼成に適しています。焼成ムラもなく、試料投入と焼成を同時に行うことができるというメリットもあります。

台車に試料を乗せて、そのまま焼成する大型炉です。試料は台車に乗せて出し入れを行うので容易にセットを行うことができます。炭素鋼、合金鋼の鍛造など重量が大きい試料を焼成する場合に適しています。

電気炉の構造や加熱方式によっても異なりますが、最大で3,000℃まで温度を上昇させることができます。

家庭用小型電気炉の最高温度は、一般的には900～1,600℃前後が主流となっています。